現在進めている研究を紹介します。
01/
ハタ類の成熟・産卵機構の解明
(行動生理学的研究)
ハタ類の多くは、生息場所(通常は摂餌場)から産卵場に蝟集し、産卵を行なったのち、元の生息場所に戻ります。また、産卵場では、フェロモンを用いた雌雄間のコミニュケーションがあると考えられています。私たちは、沖縄のサンゴ礁域に生息するカンモンハタを用いて、産卵回遊と産卵場でのコミニュケーション、それに伴う整理変化を調べています。
この研究では、成熟制御するホルモンの働きを調べるとともに、バイオロギングにより産卵回遊の解析を進めています。
フェロモンに関する研究の一部は、北大と共同で解析を始めました。
02/
ハタ類の種苗生産技術開発
これまで、マハタ、クエなどの種苗生産技術の開発にたずさわってきました。特に、繁殖生理学的知見を基盤とした成熟誘導技術の開発を行い、種苗生産の技術の確立に成功しています。現在は、これまでの知見を生かし、新たな種苗生産対象魚としてアカハタに着目し、成熟誘導と成長促進の研究を行なっています。
03/
魚類の繁殖を制御する環境因子とその役割解明
魚類の繁殖は、水温や日長などの外部環境因子によって制御されています。しかし、その詳しい制御メカニズムはわかっていません。私たちは、シロギスとブリを用いて、水温と日長に対する生理応答を生殖腺刺激ホルモン遺伝子と性ステロイドの挙動を中心に調べています。
福山大学・京都大学と共同研究をしています。
04/
魚類の次世代生産に及ぼす化学物質の影響
私たちが作り出した化学物質は、自然界に放出されたのち、魚類を始めとする水生生物の行動や繁殖に影響をあたえ、次世代生産を阻害している可能性が指摘されています。私たちは、生物の内分泌系をかく乱する化学物質である「環境ホルモン」と神経系などに影響を与える「環境医薬品」に焦点を絞り、魚類の繁殖に及ぼす影響を調べています。
京都大学・東京理科大学のグループと共同で研究をしています。
05/
サメ類の繁殖メカニズムの生理学的解明
長崎大学の創薬研究グループ、西海区水産研究所と共同で、サメ類(トラザメ・ネコザメ)の繁殖メカニズムの解明に向けて、生殖周期と産卵周期の確認、水温に対する生理応答、成熟制御内分泌系の解析を開始しました。